SEO内製化とは?インハウスSEOで自社サイトを成長させるポイント

SEO内製化とは?インハウスSEOで自社サイトを成長させるポイント

Webマーケティング戦略の中で重要な位置を占めるSEO対策。外部の専門会社に依頼するか、社内で取り組むかで悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。近年、多くの企業で「SEO内製化(インハウスSEO)」への関心が高まっています。

この記事では、SEO内製化の概念から実践方法、成功のポイントまで徹底解説します。

目次

インハウスSEOとは?

インハウスSEOとは?

インハウスSEOとは、SEO対策を外部に委託せず、自社内で完結させる取り組みを指します。「インハウス」は「組織内」を意味し、「SEO(Search Engine Optimization)」は検索エンジン最適化を表しています。つまり、検索エンジンで上位表示を目指すための施策を自社のリソースで行う方法です。

インハウスSEOでは、キーワード調査・選定から始まり、コンテンツ制作、内部対策(サイト構造の最適化)、外部対策(被リンク獲得)、効果測定と改善まで、SEOに関わる一連の業務を社内で担当します。

SEO内製化とアウトソーシングの違い

SEO対策を進める上で、最初に検討すべきなのが「内製化するか、外注するか」という選択です。両者の違いを明確に理解しておきましょう。

項目インハウスSEO(内製化)アウトソーシングSEO(外注)セミインハウスSEO(一部内製化)
実施主体自社の担当者外部のSEO会社・コンサルタント自社担当者と外部会社の混合
コスト人件費・ツール費用など外注費(月額・成果報酬型など)一部外注費と内部コスト
ノウハウ蓄積自社内に蓄積される外部に依存することが多い一部は自社に蓄積される
対応速度迅速な対応が可能外部との調整が必要内製部分は迅速に対応可能
専門性経験値によって変動専門性が高いことが多い専門分野を外部に任せられる

アウトソーシングSEOでは、専門知識を持つコンサルタントに業務を委託するため、短期間で質の高いSEO対策が実施できる可能性があります。一方、インハウスSEOは、自社のリソースで対応するため、時間はかかりますが、ノウハウが社内に蓄積され、長期的な視点で強みになります。

SEOを内製化するメリット

SEO内製化には、様々な面で大きなメリットがあります。まず第一に、SEOを内製化することで、知識やスキルが社内に蓄積されていきます。自社のビジネスや顧客を深く理解した上でのSEO施策を行うことで、成果に繋がりやすくなります。

次に、社内にSEO担当者がいれば、課題発見から施策実行までのスピードが格段に上がります。外部に依頼する場合、依頼から実行までに時間がかかることがありますが、内製化されていれば、即座に対応できます。

特に、競争の激しいキーワードでは、このスピード感が大きな差を生み出すことがあります。また、長期的に見れば、外注費の削減につながる可能性があります。

インハウスSEOが適している企業

すべての企業がインハウスSEOに適しているわけではありません。まず、自社のビジネスモデルにおいて、Webサイトからの集客や見込み顧客の獲得が重要な位置を占めている企業は、SEO内製化の恩恵を大きく受けることができます。

たとえば、ECサイトやオウンドメディアを運営している企業、BtoCサービスを提供している企業などが該当します。次に、SEOを効果的に内製化するためには、専任の担当者が必要です。他の業務と兼任だと、十分な時間をSEOに割くことができず、効果が出にくくなります。

少なくとも1名以上の専任担当者を配置できる体制が整っている企業に向いています。

SEO内製化の実施に当たっての課題

SEO内製化の実施に当たっての課題

SEO内製化には多くのメリットがありますが、実施に当たっては克服すべきいくつかの課題も存在します。こうした課題を事前に理解し、対策を検討しておくことで、スムーズな内製化が可能になります。

SEO内製化を進める上での主な障壁としては、人材確保の難しさ、社内の理解を得ることの難しさ、予算確保の問題などが挙げられます。これらの課題に対して、段階的な内製化や外部コンサルタントとの協業などの解決策も考えられます。各課題について、詳しく見ていきましょう。

SEOの知見がある人材の採用・育成コスト

インハウスSEOの最大の課題は、専門知識を持った人材の確保です。SEOに精通した人材は市場でも希少であり、採用は容易ではありません。SEO専門職の採用市場では、経験者の年収相場は600〜1,000万円程度と高額になることもあります。

経験の少ない人材を採用する場合でも、教育コストと育成期間が必要です。一般的に、SEOの基礎知識から実践的なスキルを身につけるまでには、最低でも半年から1年程度の期間がかかると言われています。

この課題に対する解決策としては、既存社員の中からデジタルマーケティングに興味・適性のある人材を選抜し、SEO研修や外部セミナーへの参加を通じて育成する方法があります。また、最初はセミインハウス体制で外部のSEOコンサルタントと協業しながら、社内人材のスキルアップを図るのも効果的です。

自社に合ったライター・編集者の確保の難しさ

SEOにおいて、質の高いコンテンツ制作は非常に重要です。しかし、自社の業界や商材に精通し、かつSEOの知見も持ち合わせたライターや編集者を確保することは簡単ではありません。特に専門性の高い業界では、業界知識のないライターが書いたコンテンツでは、読者の信頼を得ることができません。

一方で、業界知識はあってもSEOの観点からコンテンツを最適化する知識がないと、検索上位表示は難しくなります。

この課題に対する解決策としては、業界知識を持つ社内のスタッフとSEOの知見を持つ担当者が協力してコンテンツを制作する体制を構築することが考えられます。

また、外部のフリーランスライターと契約し、徐々に自社の業界知識を教育していく方法も有効です。さらに、記事構成や重要キーワードなどはSEO担当者が作成し、執筆のみを外部に依頼するハイブリッド型の制作体制を整えるのも一つの解決策です。

中長期施策としての予算承認の壁

SEOは即効性のある施策ではなく、効果が表れるまでに通常3〜6ヶ月、場合によっては1年以上かかることもあります。このため、短期的な成果を求める傾向がある企業では、SEO内製化のための予算獲得が難しい場合があります。

特に、SEO施策の効果を具体的な数値で示すことが難しいケースもあり、投資対効果(ROI)の説明に苦労することがあります。

また、SEOは継続的な取り組みが必要であるため、単発ではなく恒常的な予算確保が必要です。この課題への対策としては、過去の自社サイトのトラフィックデータや競合他社の事例を基に、SEO効果の予測シミュレーションを作成することが有効です。

インハウスSEO担当の主な業務内容

インハウスSEO担当の主な業務内容

インハウスSEOを実践するにあたり、担当者はどのような業務を行うのでしょうか。ここでは、SEO担当者の主要な業務内容と、それぞれの業務におけるポイントを説明します。

キーワード選定

SEOにおいて、どのキーワードで上位表示を目指すかは非常に重要な戦略です。適切なキーワード選定のプロセスとしては、まずターゲットユーザーの検索意図を明確にすることから始めます。自社のサービスを必要としているユーザーがどのような言葉で検索しているかを理解することが重要です。

ペルソナを設定し、そのユーザーが抱える課題や関心事を洗い出しましょう。次に、自社サイトの主要テーマに関連するキーワードを広く収集します。

Google Search Console、Google キーワードプランナー、Ubersuggestなどのツールを活用して、多角的にキーワードを収集することが効果的です。

コンテンツの企画・作成

SEOにおけるコンテンツ制作は、キーワード選定で特定したターゲットキーワードに基づいて行います。まずはじめに全体のコンテンツ戦略を立てることが重要です。どの顧客層に向けて、どのような価値を提供するコンテンツを作成していくかを明確にします。

顧客のカスタマージャーニーに沿ったコンテンツマップを作成すると、漏れなく効果的なコンテンツを企画できます。次に、ターゲットキーワードごとに、どのような構成で記事を作成するかを検討します。競合上位サイトの分析を行い、どのような情報がユーザーに求められているかを把握します。

H2、H3などの見出し構成を詳細に設計することで、執筆効率と品質が向上します。

内部対策・外部対策の実施

SEO対策は大きく分けて「内部対策」と「外部対策」の2つがあります。どちらも重要な要素ですので、バランスよく実施することが大切です。

内部対策は、自社サイト内で実施できるSEO施策です。主な内部対策として以下のようなものがあります。

内部対策の種類内容実施ポイント
サイト構造の最適化サイトの階層構造を整理し、重要ページへのクローラビリティを向上させるサイトマップの作成、パンくずリストの設置、カテゴリ構造の整理
内部リンク設計サイト内のページ同士を適切にリンクで結び、関連性を示す関連記事リンク、コンテキストリンク、ナビゲーションの最適化
ページ速度の改善ページの読み込み速度を向上させ、ユーザー体験を改善する画像の最適化、CSSやJavaScriptの最適化、キャッシュの活用
モバイル対応スマートフォンでの表示を最適化するレスポンシブデザイン、AMPの導入検討、モバイルファーストインデックス対応
構造化データの実装schema.orgなどのマークアップを使って検索エンジンに情報を伝えるFAQページ、商品情報、レビュー、イベント情報などへの構造化データ実装

内部対策は自社でコントロールできる部分が多いため、インハウスSEOの初期段階から取り組みやすい施策です。特に技術的なSEO対策は、一度実装すれば長期的に効果を発揮するため、早めに対応することをおすすめします。

外部対策は、自社サイト以外の場所で行うSEO施策です。主に被リンク(バックリンク)の獲得を中心とした施策が含まれます。

外部対策の種類詳細
コンテンツマーケティングによる自然な被リンク獲得質の高いコンテンツを作成し、他のサイトから自然にリンクされることを目指す
自社メディアの運営オウンドメディアや企業ブログを運営し、定期的に価値のある情報を発信することで、認知度の向上と被リンクの獲得を図る
PRやメディア露出プレスリリースの配信や業界メディアとの関係構築を通じて、自社の取り組みを広める記事化されればそこからの被リンクも期待できる。
関連業界サイトとの協業自社と相互補完関係にある業界のサイトと協業し、お互いの価値を高め合うことで、自然な形での被リンク獲得を狙う

外部対策は内部対策と比べてコントロールが難しい面がありますが、Googleの評価において非常に重要な要素です。

効果測定と改善

SEO施策の効果を継続的に測定し、改善していくことは、インハウスSEOの重要な業務の一つです。まず、SEOの効果を測定するための主要指標(KPI)を設定します。一般的なKPIとしては、オーガニック検索からの訪問数、ターゲットキーワードでの検索順位、コンバージョン数(問い合わせ、資料請求、購入など)、直帰率・滞在時間などのユーザー行動指標、被リンク数や参照ドメイン数などがあります。事業目標に合わせて、どの指標を重視するかを決定することが重要です。

測定には、Google Analytics、Google Search Console、順位チェックツール、SEO診断ツールなどを活用します。これらのツールを組み合わせることで、多角的な分析が可能になります。

インハウスSEOを成功させるためのステップ

インハウスSEOを成功させるためのステップ

SEO内製化を成功させるためには、段階的なアプローチが重要です。インハウスSEOで効果を出すことは一朝一夕には叶いません。現状分析から始まり、徐々に社内体制を整え、スキルやノウハウを蓄積していく長期的なプロセスです。

戦略設計と目標設定

インハウスSEOの第一歩は、明確な戦略と目標の設定です。まずは自社サイトの現状を客観的に分析します。現在のオーガニック検索からの訪問状況、主要キーワードでの検索順位、サイト内のSEO上の技術的課題、コンテンツの質と量、競合サイトとの比較分析など、様々な観点から現状を把握します。

これらの分析を通じて、現在の強みと弱みを明確にしたうえで、SEOで達成したい具体的な目標を設定します。目標は具体的で測定可能なものにしましょう。

たとえば、「1年後にオーガニック検索からの訪問数を現状の2倍にする」「重要な10キーワードのうち7つで検索結果の上位10位以内に入る」「SEO経由のコンバージョン数を50%増加させる」など、具体的な数値目標を設定することが重要です。

リソース・予算の調達と体制構築

戦略と目標が明確になったら、次にSEO内製化に必要なリソースの確保と体制構築を行います。SEO内製化に必要な主なリソースには、人的リソース(SEO担当者、コンテンツ制作者、ウェブ開発者など)、ツール(SEO分析ツール、キーワードリサーチツール、コンテンツ管理システムなど)、外部サポート(必要に応じたコンサルティングや研修)などがあります。

これらのリソースについて、必要な数量や予算を具体的に見積もりましょう。SEO内製化には一定の投資が必要です。人件費、ツール導入費、教育研修費、コンテンツ制作費など、様々な予算項目を考慮する必要があります。SEO内製化の予算を確保するためには、予想される効果(トラフィック増加やコンバージョン改善による収益向上)と投資のバランスを示すことが重要です。

運用のPDCAサイクル確立

インハウスSEOの体制が整ったら、次は実際の運用フェーズです。このフェーズでは、効果的なPDCAサイクルを確立し、継続的な改善を行うことが重要になります。

まず、SEO施策の計画から評価、改善までの一連のサイクルを設計します。Plan(計画)では月ごとや四半期ごとの施策計画を策定し、Do(実行)ではその計画に基づいた施策を実施します。Check(評価)では施策の効果測定と分析を行い、Act(改善)では分析結果に基づく改善策を検討します。

このサイクルを定期的に回すことで、継続的な改善が可能になります。また、SEO担当者やチーム間で定期的なミーティングを設定し、進捗確認や課題共有を行うことも大切です。

まとめ

SEO内製化は、単なるコスト削減策ではなく、自社のWebマーケティング力を高め、長期的な競争力を構築するための戦略的な取り組みです。インハウスSEOの主なメリットは、社内へのノウハウ蓄積、スピーディなPDCAサイクルの実現、長期的なコスト削減などであり、一方で人材確保や予算獲得などの課題も存在します。

これらのバランスを考慮しながら、自社の状況に合った最適な内製化の形を見つけることが重要です。SEO内製化を成功させるためには、まず現状分析と戦略設計から始め、自社サイトの現状把握、明確な目標設定とKPI策定、段階的な実施計画の立案を行いましょう。

SEOは短期的な施策ではなく、長期的に取り組むべき継続的な活動です。一時的な検索順位の向上だけでなく、ユーザーに価値を提供し続けることで、持続的な成長を実現しましょう。

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