Webサイトの目的とは?種類、役割、目的達成の方法を解説

Webサイトの目的とは?種類、役割、目的達成の方法を解説

Webサイトを作成する際、「どんな目的で作るのか」を明確にすることが重要です。目的が明確でないサイトは方向性がぶれやすく、結果として効果を発揮できないことがあります。

この記事では、Webサイトの目的や役割、目的別の種類と、目的を達成するための方法について詳しく解説します。これからWebサイトを作成する方や、既存サイトの効果を高めたい方はぜひ参考にしてください。

目次

Webサイトの目的とは?

Webサイトの目的とは?

Webサイトの目的とは、サイトを通じて実現したいビジネス上の成果を指します。明確な目的設定はサイト制作の出発点であり、設計やコンテンツ、デザイン、機能など全ての要素を決定する重要な指針となります。

Webサイトは企業とユーザーをつなぐ接点であり、適切に設計・運用することで顧客獲得や売上向上など、ビジネスの成長を支援する強力なツールとなります。そのためには、「何のために作るのか」「どんな成果を期待するのか」を具体的に定義することが不可欠です。

企業におけるWebサイトの重要性

現代のビジネス環境において、企業のWebサイトは単なる情報発信の場ではなく、事業活動の中核を担う重要な存在となっています。総務省の通信利用動向調査によると、企業のWebサイト開設率は90%を超えており、インターネットを活用したビジネス展開は今や当然の時代となりました。

Webサイトは企業の「デジタル上の顔」として、24時間365日世界中のユーザーにアクセス可能な窓口となります。潜在顧客の多くは企業との最初の接点としてWebサイトを訪問するため、サイトの印象がそのまま企業イメージに直結します。

また、Webサイトがない企業は信頼性に疑問を持たれることもあります。「Webサイトがない=時代遅れの企業」というイメージを持たれかねないため、適切に設計・運用されたWebサイトの存在自体が企業の信頼性向上に寄与します。

参考:通信利用動向調査報告書|総務省 情報流通行政局

Webサイト目的の明確化が必要な理由

Webサイトの目的を明確化することは、限られたリソースを最大限に活用し、効果的なサイトを構築・運用するために不可欠です。目的が曖昧なままサイトを制作すると、問題が生じる可能性があります。

まず、目的が不明確だとターゲットユーザーも定まらず、「誰に何を伝えるか」が不明確になります。結果として、ユーザーのニーズに応えられない内容になりがちです。また、目的に応じたKPI(重要業績評価指標)の設定ができず、サイトの効果測定や改善が困難になります。

目的を明確にすることで、サイト設計の指針が定まります。たとえば、リード獲得が目的ならば問い合わせフォームの最適化や資料ダウンロード機能の充実が重要ですが、ブランディングが目的ならば企業理念やストーリーを伝えるコンテンツを重視すべきでしょう。

サイトを制作する目的の例

Webサイトを制作する目的は企業や組織によって異なりますが、代表的なものとして以下のようなパターンが挙げられます。それぞれの目的に応じて、サイトの設計や必要な機能が変わってきます。

  • 企業の認知度向上と信頼獲得
  • 商品・サービスの認知度向上
  • 商品・サービスの販売・申し込み
  • リード獲得と顧客リストの構築
  • 人材採用とブランドイメージの向上

それぞれの目的について、より詳しく見ていきましょう。

企業の認知度向上と信頼獲得

企業の認知度向上と信頼獲得を目的としたWebサイトでは、企業情報を正確に伝えることが重要です。会社概要や事業内容、企業理念、沿革などの基本情報に加え、実績や導入事例、受賞歴などの信頼性を高める要素を盛り込むことが効果的です。

特に新規取引先や投資家など、企業の信頼性を重視するステークホルダーに対しては、財務情報や事業報告書、プレスリリースなどの情報を充実させることで、透明性の高い企業イメージを構築できます。

また、経営者のメッセージや社員インタビューを掲載することで、企業の人間的な側面を伝え、親近感を醸成することも可能です。これらのコンテンツは、単なる情報提供を超えて、企業の価値観や文化を伝える重要な役割を果たします。

商品・サービスの認知度向上

商品・サービスの認知度向上を目的とする場合、単なる機能や特徴の列挙ではなく、顧客の課題解決にどう貢献できるかを具体的に伝えることが重要です。効果的な商品・サービス紹介ページでは、明確な価値提案から始まり、具体的な機能や特徴の説明、競合製品との差別化ポイント、実際の使用シーンや活用方法の紹介などを含めると良いでしょう。

また、ユーザーの声や導入事例を掲載することで信頼性が高まります。視覚的要素も認知度向上に大きく貢献するため、高品質な商品写真や使用シーンの動画、分かりやすいインフォグラフィックなどを活用し、文字だけでは伝わりにくい魅力や使い勝手を視覚的に訴求することが効果的です。

商品・サービスの販売・申し込み

商品・サービスの販売や申し込みを目的としたWebサイトでは、ユーザーの購入意欲を高め、スムーズな購入プロセスを提供することが重要です。ECサイトやサービス申込サイトがこれに該当します。購入・申し込みプロセスをスムーズにするUI/UX設計においては、分かりやすい商品カテゴリー分類と検索機能、詳細な商品情報と高品質な画像・動画、明確な価格表示と支払い方法の説明が必要です。

また、シンプルで直感的なカート機能と購入フロー、モバイルでも使いやすいレスポンシブデザイン、セキュリティ対策と安全性の明示も欠かせません。

リード獲得と顧客リストの構築

見込み顧客(リード)の獲得を目的としたWebサイトでは、ユーザーの連絡先などの情報を取得することに重点を置きます。特にBtoB領域では、即時の購入決定よりも段階的な商談プロセスを経ることが多いため、リード獲得は重要な目的となります。

リード獲得に効果的なコンテンツとしては、価値のある情報資料(ホワイトペーパー、業界レポートなど)のダウンロード提供、無料トライアルや体験版の申し込み、オンラインセミナーやウェビナーへの参加登録などがあります。また、専門家による無料相談の予約やメールマガジンの購読申し込みも有効です。

人材採用とブランドイメージの向上

人材採用とブランドイメージの向上を目的としたWebサイトでは、企業の魅力や働く環境、成長機会などを効果的に伝えることが重要です。採用市場における競争が激化する中、優秀な人材を惹きつけるためには、単なる求人情報の掲載を超えた戦略的なアプローチが求められます。

採用情報ページに掲載すべき基本的な情報と差別化のポイントは以下の通りです。

基本情報差別化ポイント
募集職種と業務内容社員インタビューや働く様子の動画
応募資格と求める人物像具体的な成長ストーリーや研修制度
給与・待遇・福利厚生働きやすさを実現する制度や環境
勤務地と勤務時間オフィス環境や社内イベントの紹介
選考プロセスの説明企業理念と個人の成長を結びつける価値観

採用サイトでは、応募者が「この会社で働きたい」と思えるような情報を提供することが重要です。企業文化や働く環境、社員の日常、キャリアパスなど、求職者が知りたい情報を積極的に開示することで、ミスマッチを減らし、適性の高い人材の応募を促進できます。

また、採用情報と企業のブランドイメージは密接に関連しています。社会貢献活動やダイバーシティへの取り組み、働き方改革の事例などを紹介することで、企業の価値観や社会的責任への姿勢を示し、共感を得られる人材との接点を増やすことができます。

Webサイトの種類別の役割

Webサイトの種類別の役割

Webサイトは目的によって様々な種類に分類され、それぞれ異なる役割を担っています。主要なWebサイトの種類としては、コーポレートサイト、サービスサイト・ブランドサイト、ECサイト、ランディングページ、オウンドメディア、採用サイトなどが挙げられます。

コーポレートサイト(企業サイト)

コーポレートサイトは、企業の公式Webサイトとして、会社の基本情報や事業内容、企業理念などを発信するためのサイトです。企業の「デジタル上の顔」として、ステークホルダーに対する信頼構築を担う重要な役割を持っています。

コーポレートサイトには会社概要(社名、所在地、設立年、資本金、従業員数など)、企業理念・ビジョン・ミッション、事業内容や提供サービス、会社沿革・ヒストリー、経営陣のプロフィール、プレスリリース・ニュース、IR情報(上場企業の場合)、採用情報、お問い合わせ情報、プライバシーポリシーや各種規約などの情報が必須です。

また近年は、単なる情報提供だけでなく、企業の個性や文化を伝えるストーリーテリングの要素を取り入れたコーポレートサイトが増えています。写真や動画、社員インタビューなどを活用して企業の人間的な側面を見せることで、より深い共感と信頼を得ることができます。

サービスサイト・ブランドサイト

サービスサイトとブランドサイトは、特定の商品・サービスや、ブランドに焦点を当てて情報発信するためのWebサイトです。コーポレートサイトが企業全体の情報を扱うのに対し、これらのサイトはより具体的な商品・サービスの特徴や価値を深く掘り下げて紹介します。

サービスサイトとブランドサイトの違いと特徴は以下の通りです。

特徴サービスサイトブランドサイト
主な目的商品・サービスの機能や特徴の説明ブランドの世界観や価値観の表現
訴求ポイント機能性、利便性、費用対効果感性、ライフスタイル、ストーリー
コンテンツの特徴具体的な使い方や仕様の説明ビジュアルや物語性を重視
導線設計問い合わせや購入へのコンバージョン重視ブランド体験と共感の醸成を重視
更新頻度機能やプラン変更に合わせて更新キャンペーンやシーズンに合わせて更新

サービスサイトでは、商品・サービスの詳細情報(機能、料金、導入事例など)に加え、ユーザーの課題解決につながる情報を提供することが重要です。FAQ、設定マニュアル、活用事例など、購入前後の顧客をサポートするコンテンツを充実させることで、顧客満足度の向上にもつながります。

一方、ブランドサイトでは視覚的なインパクトと感性に訴えるデザインが重視されます。ブランドのストーリーや世界観を体験できるコンテンツを通じて、顧客との感情的なつながりを構築し、他社との差別化を図ります。特にファッション、食品、化粧品など、感性や感情に訴えかける商品カテゴリでは、ブランドサイトの役割が重要になります。

ECサイト

ECサイト(Electronic Commerce Site)は、インターネット上で商品やサービスを販売するためのWebサイトです。実店舗に行かなくても24時間いつでも買い物ができる利便性から、EC市場は年々拡大を続けています。

ECサイトに必要な基本機能としては、商品検索・カテゴリ分類機能、商品詳細表示機能(画像、説明文、価格、在庫状況など)、カート機能、会員登録・ログイン機能、決済処理機能(複数の支払い方法に対応)、注文履歴・配送状況確認機能、問い合わせ対応機能などが挙げられます。

売上向上のための工夫としては、レコメンド機能(関連商品、よく一緒に購入される商品の表示)、レビュー・口コミ機能、セール情報や限定商品の訴求、ポイント制度やリピーター向け特典、商品の使用シーンや活用法を示す情報コンテンツ、スマートフォンに最適化されたデザイン、チェックアウトプロセスの簡略化などが効果的です。

ランディングページ(LP)

ランディングページ(LP:Landing Page)は、特定の目的に特化した単一ページのWebサイトです。広告やメールマガジンなどの外部リンクから訪問者を「着地(ランディング)」させ、商品購入や資料請求などの具体的なアクションを促すために設計されています。

LPは通常の複数ページから構成されるWebサイトと異なり、ページ内の要素すべてが単一の目的(コンバージョン)に向けて最適化されています。そのため、ナビゲーションメニューを最小限にし、ページ外への遷移リンクを減らすことで、ユーザーの注意を分散させない設計が特徴です。

オウンドメディア

オウンドメディアとは、企業や組織が自ら所有・運営するメディアサイトで、商品やサービスの直接的な宣伝ではなく、ユーザーにとって価値のある情報コンテンツを継続的に発信するWebサイトです。ブログ形式で運営されることが多く、SEO効果による自然検索からの流入獲得や、コンテンツを通じた顧客関係構築を目的としています。

オウンドメディア運営のメリットと課題、成功のためのポイントは以下の通りです。

メリット課題成功のポイント
自社で完全にコントロール可能継続的なコンテンツ制作の負担明確なターゲット設定とペルソナ分析
長期的なSEO効果が期待できる効果が出るまで時間がかかるユーザーの悩みや課題に応える価値あるコンテンツ
ブランディングと専門性のアピールコンテンツの質と量の両立検索ニーズを捉えたキーワード設計
見込み顧客の育成と関係構築他社メディアとの差別化継続的な更新と改善のための体制構築
自社サービスへの送客ROIの測定が難しいコンテンツと自社サービスの自然な接続

オウンドメディアは、コンテンツマーケティング戦略の中核を担う重要な施策です。従来の広告のように商品を直接的に宣伝するのではなく、ユーザーの関心や課題に関連するコンテンツを提供することで、潜在顧客との接点を作り、徐々に関係を構築していく長期的なアプローチです。

採用サイト

採用サイトは、企業の人材採用活動を支援するために特化したWebサイトです。求職者に対して企業の魅力や募集職種、選考プロセスなどの情報を提供し、応募を促進する役割を持っています。コーポレートサイト内に採用ページを設ける場合もありますが、採用活動に力を入れる企業では独立した採用専門サイトを構築するケースが増えています。

採用サイトに掲載すべき情報としては、企業理念・ビジョン・ミッション、募集職種と業務内容の詳細説明、求める人物像・スキル・経験、給与・待遇・福利厚生、教育制度・キャリアパス、社員インタビューや「1日の流れ」紹介、職場環境や社内文化の紹介、選考フローと応募方法、よくある質問(FAQ)などが挙げられます。

Webサイトの目的 を達成する必要な施策

Webサイトの目的 を達成する必要な施策

Webサイトの目的を達成するためには、サイト公開後の継続的な施策が不可欠です。ここでは、目的達成のために必要な主要な施策について解説します。

SEOによるトラフィック向上

SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからのオーガニック(自然検索)トラフィックを増やすための施策です。適切なSEO対策を行うことで、ターゲットユーザーが関連キーワードで検索した際に自社サイトが上位表示され、訪問者の増加につながります。

SEOは一度の施策で永続的な効果を得られるものではなく、検索エンジンのアルゴリズム変更や競合サイトの動向に合わせて継続的な対応が必要です。特にGoogleは定期的にアルゴリズムを更新しており、最新の変更に合わせた戦略の見直しが重要となります。

広告との連携によるリード獲得

Webサイトと広告を効果的に連携させることで、より多くのリード(見込み顧客)を獲得することが可能になります。広告によって新たなユーザーをサイトに呼び込み、適切なランディングページで具体的なアクションにつなげる戦略が効果的です。

広告の種類別の特徴と、それぞれに適したサイト連携の方法は以下の通りです。

広告の種類特徴適したサイト連携
リスティング広告検索意図の明確なユーザーにアプローチ検索キーワードに合致した専用ランディングページ
ディスプレイ広告ビジュアルによる認知拡大ブランドイメージと一貫したデザインのLP
SNS広告ターゲティング精度の高い配信ユーザー属性に合わせたコンテンツとCTA
リターゲティング広告サイト訪問者への再アプローチ前回閲覧した商品・コンテンツに関連する情報
動画広告視覚と聴覚に訴える情報量の多さ動画の続きとなるストーリー展開のページ

広告とWebサイトの連携では、広告からの流入先となるランディングページの最適化が特に重要です。広告のメッセージとランディングページの内容に一貫性を持たせ、ユーザーがストレスなく目的の情報やアクションにたどり着けるよう設計する必要があります。

UI/UXの最適化によるエンゲージメント向上

UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の最適化は、Webサイトの使いやすさと満足度を高め、ユーザーのエンゲージメント(関与度)向上につなげる重要な施策です。良好なUI/UXはコンバージョン率の向上、滞在時間の延長、リピート率の増加など、様々な指標の改善に寄与します。

UI/UX改善のためのチェックポイントとしては、まず分かりやすいナビゲーション設計が挙げられます。直感的なメニュー構造、現在位置の明示(パンくずリストなど)、サイト内検索の実装などが重要です。

コンテンツ制作によるユーザー獲得

質の高いコンテンツを継続的に制作・発信することは、新規ユーザーの獲得とリピーターの育成に効果的な施策です。特にオウンドメディアやブログ運営において、ターゲットユーザーの関心や課題に応えるコンテンツは、検索エンジンからの流入増加やソーシャルメディアでの拡散につながります。

コンテンツ制作は一度限りではなく、継続的な取り組みが重要です。定期的な更新によって検索エンジンからの評価が高まり、ユーザーの再訪問も促進されます。

特に近年は、「ユーザーファースト」のコンテンツが重視されています。SEOを意識しつつも、最終的にはユーザーにとって本当に価値のある情報を提供することが、サイトの信頼性向上と長期的な成果につながります。

まとめ

Webサイトの目的とは、サイトを通じて実現したいビジネス上の成果を指します。目的を明確にすることで、サイト設計や運用方針が定まり、限られたリソースを最大限に活用した効果的なWebサイトを構築・運営することができます。

Webサイトの主な目的には、企業の認知度向上と信頼獲得、商品・サービスの認知度向上、商品・サービスの販売・申し込み、リード獲得と顧客リストの構築、人材採用とブランドイメージの向上などがあります。これらの目的によって適したWebサイトの種類も異なり、コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ランディングページ、オウンドメディア、採用サイトなど様々な形態が存在します。

Webサイトを効果的に活用するためには、まず自社のビジネス目標を明確にし、それを達成するためのWebサイトの役割を定義することから始めましょう。そして、目的に合ったサイト設計と継続的な運用改善を行うことで、ビジネスの成長を支援する強力なツールとしてWebサイトを活用できるようになります。

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